<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 秘省後廳>
<Format: 五言絕句>
<Year: 1965>
<BookName: 唐詩選　下>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 漢文無假名>
<style2: 日本漢文訓讀無假名標注>
<TranslatedTitle: 初（はじ）めて峡（きょう）に入（い）りて感有（かんあ）り >
<BookPage: 36-39>
<UsedPage: 4>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>

<End Poem>
<Translation>
上には万仭の山があり、下には千丈の川がある。 
青黒く迫る両側の断崖の間は、一艘の葦舟がやっと入るほど。 
瞿唐峡は口を開けて一気に水を吐き出し、灩澦堆はすっくと中にそびえ立つ。 
夜でもないのに岩は黒々と薄暗く、風もないのに白い波が立つ。 
大きな岩は刀剣のようにそそり立ち、小さな岩は歯のように切り立つ。 
一歩たりとも進めそうもない、それが千三百里も続くのだ。 
舟を曳くやわな竹皮の綱、危なげな船乗りの足もと。 
一度踏み間違えば、舟は跡形をとどめず、わたしの命はそれに繋がれている。 
忠と信に則れば、蛮人の国でもやっていけると常々聞いていた。 
しかし古来水没した人に、君子が一人もいなかったわけではなかろう。 
ましてやわたしの時と運命といえば、いつもちぐはぐで頼りになりはしない。
かねがね恐れていた通り、不才のこの身は、名もなく死んでしまうのではないか。
<End Translation>
<Formatted Translation>
上には万仭の山があり、
下には千丈の川がある。 
青黒く迫る両側の断崖の間は、
一艘の葦舟がやっと入るほど。 
瞿唐峡は口を開けて一気に水を吐き出し、
灩澦堆はすっくと中にそびえ立つ。 
夜でもないのに岩は黒々と薄暗く、
風もないのに白い波が立つ。 
大きな岩は刀剣のようにそそり立ち、
小さな岩は歯のように切り立つ。 
一歩たりとも進めそうもない、
それが千三百里も続くのだ。 
舟を曳くやわな竹皮の綱、
危なげな船乗りの足もと。 
一度踏み間違えば、舟は跡形をとどめず、
わたしの命はそれに繋がれている。 
忠と信に則れば、
蛮人の国でもやっていけると常々聞いていた。 
しかし古来水没した人に、
君子が一人もいなかったわけではなかろう。 
ましてやわたしの時と運命といえば、
いつもちぐはぐで頼りになりはしない。
かねがね恐れていた通り、不才のこの身は、
名もなく死んでしまうのではないか。
<End Formatted Translation>